研究項目

 本特定領域「生体膜トランスポートソームの分子構築と生理機能」の目的は、トランスポートソームの実体の解明とその生理的意義の実証であり、トランスポートソームの分子構築とその局在機構を明示し、単一輸送分子の機能からは説明できなかった現象がトランスポートソームによって理解可能となる事例を提示することにより、トランスポートソームの「分子と生体を結ぶ階層」としての位置付けを確立することを到達目標とする。この目的を達成するために、以下の三つの研究項目を設ける。

研究項目A01:トランスポートソームの構成と機能に関する研究

 個々のトランスポートソームの分子構築と機能を解析することにより、構成分子、空間的広がり、その形成に関わる分子間相互作用ネットワークを明らかにし、トランスポートソームの実体を解明する。

研究項目A02:トランスポートソームと生体膜の相互作用に関する研究

 トランスポートソームは、生体膜上の適切な位置に配置されることが必要であり、またその機能はその作動環境に大きく影響されるため、トランスポートソームとそれが形成されるプラットホームである細胞膜ミクロドメインや細胞骨格との相互作用を明らかにし、トランスポートソームの生体膜上での存在の様式と機能発現における作動環境の役割を解明する。

究項目A03:トランスポートソームの生理機能とその破綻による病態に関する研究

 トランスポートソームの調節とシグナル系とのクロストーク、及び細胞、組織、個体における生理機能とその破綻により生じる病態との関わりを解明し、輸送分子が単独で存在するのでなく、トランスポートソームの中に分子複合体の一員として組み込まれて存在することの意義を明らかにする。

 本特定領域研究は、近年のプロテオミクス技術、分子可視化技術の革命的な進歩により分子複合体の解析的研究が可能となったことに依拠するところが大きい。また、研究を開始するに当たり、トランスポートソームに特化した技術の開発が必要とされる。

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